
ニュージーランドでは国籍や永住権、滞在期間やビザの種類など一定の条件を満たすと、パブリック(公立)の病院の医療システムが無料になります。医療費が税金で賄われるとても良いシステムですが、問題も抱えています。
新田直人
ニュージーランド政府公認のファイナンシャルサービスプロバイダー。AIA Financial Services Network所属のFSNシニアアドバイザーとして、医療保険や死亡、疾病保障といった生命保険からワーキングホリデーや旅行者向けの保険、留学生保険などを扱う。
ウエイティングリストの問題
GP(一般医)からパブリックに送られた紹介状は、パブリック病院のスペシャリストによって審査され、症状にスコアが付けられます。このスコアが一定の基準に達すると、ウエイティングリストに載り、病院側の指定する日時に治療を受けることになります。無料で受診できるのは良い反面、日本のように自由に、好きな時に治療を受けられるわけではありません。
また、スコアに従ってリストに載るため、場合によっては長い期間待たされることがあります。この背景には、主に人口の増加、高齢化、予算の限界などの要因があるようで、人口が多いオークランド地区とカンタベリー地区は特に状況が良くないようです。
最初のアポまでの長い道のり
では、実際にはどのくらいの間待つのでしょう。MOH(Ministry of Health)では、「ウエイティングリストに載ってから4カ月以内に最初のアポイントメントが入る」と言ってます(あくまで最初のアポです)。一方、リサーチ会社・TNSは2016年に次のように発表しています。
・GPから外科的治療を受けるまでの平均日数は、パブリック177日、プライベート76日
・プライベートの場合、半数以上が1カ月以内に外科的治療を終えている
・外科的治療が必要かもしれないと言われた患者28万人のうち、実際にリストに載ったのは11万人
どうでしょう。「プライベートよりもちょっと余分に待つだけ」といったレベルの話ではないのではないでしょうか。
高いプライベートの治療費と保険
プライベートの病院で全額自費の治療を受けた場合は、ほぼ確実にパブリックより早く治療が終了します。個別に見た場合、パブリックの方が早かったという例もありますが、あくまで例外で、数字を見る限りプライベートの方が確実に早いことが明らかです。
しかし全額自己負担になるため、プライベートの治療費は非常に高額です。たとえ日帰りでも「手術」と名の付くものであれば最低1万ドルは覚悟する必要があります。またCT、MRIといった検査も1回600~2,000ドルくらいかかります。
こういったプライベート病院の治療費を保障する保険が医療保険(メディカル・インシュランス)です。MOHの統計によると、医療保険の加入率は大人が35%(35歳〜64歳は41~42%)。地域で見るとオークランド、カンタベリーは40%を超えています。「パブリック病院は無料」というセーフティネットはありますが、ご自身の身を守るためにも一度、医療保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。
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